設立趣意書

今日、環境問題は人類にとり普遍的な問題となっている。この解決のためには、国際的な体制整備とともに、個人あるいは地域レベルで身近な環境を見直し、改善するための認識と行動が基本的に重要であり、さらに地域間のネットワーク化による知識と成果の共有が大きな効果をもたらすものと確信する。


英国で始まったグラウンドワークは、地域住民、行政、企業のパートナーシップと地域の専門組織(トラスト)によって推進される地域の環境改善活動である。


この活動は、1970年代に都市近郊の農村地域において進展する環境汚染と景観破壊に対処するため、田園地域委員会が同地域に専門家を派遣し、田園地域の環境改善プロジェクトを実施したことに端を発し、1981年にはグラウンドワークとしてその概念が明確化された。その後イギリス各地にこのような地域環境改善活動を行なう団体が設立され、1985年にはこれらの地域活動を支援するため、バーミンガムにグラウンドワーク事業団が設立された。現在では、英国内36地区に500人のスタッフが年間4万人のボランティアの協力を得て3,000件のプロジェクトを展開しており、情報通信システムを活用したネットワークの構築によって、さらに活動の質を高めている。


わが国においても、各地域でグラウンドワーク活動の萌芽が見られるところである。ある地域では、農業用水路の改修、親水公園化を契機として、地域の水辺・自然環境の改善をより積極的に行なうための組織づくりが始まっている。そして、イギリスのグラウンドワークを参考に、市民団体、土地改良区、青年会議所等が実行委員会を組織して、数多くの活動を積極的に行なっている。


また別の地域では、住民が主体となって、学習活動を行ないながら地域の特性を活かした地域づくりを進めている。農業用水路の改修に伴う親水公園の整備や水田の中に残っている樹林地の保全整備、花いっぱい運動などを地域住民が中心となり、行政、専門家とともに進めているものである。また、誘致企業の敷地周辺の緑化や所有山林の集落への寄贈など地元企業も積極的に参加、協力している。


このように、グラウンドワーク活動は住民が地域に愛着を感じ、誇りを持ちつつ地域コミュニティを維持発展させるという観点や、今後ますます必要とされる生活におけるゆとりと豊かさの面からの農村と都市の結合にとっても重要な意味を持つものと言える。
さらに、持続的な地域の環境改善運動と高度な情報通信ネットワークの活用による地域連携機会の向上によって、農村及びその近郊地域を始めとする地域での様々な施設や資源の活用拡大、美しい地域づくりのための合意形成、そして地域全体の活性化にも資するものと言える。


こうした状況を踏まえ、わが国においてもグラウンドワーク活動を発展させるため、全国各地のグラウンドワーク活動の支援、育成と高度な情報通信ネットワークの活用による内外の環境活動の知識共有化を図ることを目的に、住民、団体、専門家、行政、企業など多くの関係者の協力を得て、ここに財団法人日本グラウンドワーク協会を設立するものである。


平成7年9月20日

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