三重県伊賀市において、「三重県棚田サミット」(主催:三重県)が開催されました。このサミットは、県内の棚田地域の関係者が一堂に会し、課題の共有や理解を深め合い、もって、山村文化の継承や山村地域の振興につながることを目的としています。県内の「つなぐ棚田遺産」の3つの棚田保全団体及び県、市町村の関係者、約50名が参加しました。伊賀市長、県農山漁村むらづくり課長の挨拶後に、当協会の中里良一理事長が「都市交流と大学生連携による持続可能な棚田保全と地域づくり」と題して基調講演を行いました。講演内容は、①中山間地域、棚田を取り巻く状況、②都市との交流人口、関係人口の推進、③持続可能な棚田保全方策、④「大学生サークルと農村マッチング事業」について。続いて、白米千枚田愛耕会(石川県輪島市)の堂下真紀子氏より「能登半島地震と能登豪雨による被害状況と復興について」と題して報告がありました。愛耕会のみなさまは全員被害(家族を亡くされた方もおられます。)を受けられ(一時孤立集落となりました)、避難生活、仮設住宅に住まわれながら、千枚田の復旧作業に取り組まれています。2024年元旦、白米千枚田道の駅に約80名の観光客が孤立状態になりました。堂下氏ほか愛耕会のみなさまは、自らも被災されているのにもかかわらず、危険状態にある道なき道(国道等が寸断され、車が通れない状態)を50分歩いて道の駅に行き、炊き出しをして、観光客に食事を提供されました。幸いプロパンガスと米(農家の強味)はあったそうです。水は湧き水を使用。数日後に観光客全員がヘリコプターで運ばれました。基調講演、堂下氏の報告後に全員で「つなぐ棚田遺産」である「西山の棚田」(伊賀市)を見学しました。「西山の棚田」(97ha)は昭和28年に大雨による土砂流入、法面崩壊により約8割の農地が壊滅的な被害を受けました。地域のみなさまの大変なご苦労により復旧され、現在、見事に整備された農地となっています。棚田の見学後、「災害を受けた棚田の復旧、復興について」をテーマにパネルディスカッション(コーディネーター:中里理事長)が行われました。棚田の復旧において、どのような形状にするか議論になりました。「美しい景観のため小面積の曲線状(現状回復)にすべきだ」という意見と「担い手が少なくなる中、労働作業を軽減するため、機械で営農できるように農地をまとめて大区画するべきだ」という意見がありました。みなさまはどうお考えになるでしょうか。パネルディスカッション後に地域の婦人部が棚田米で作られた美味しいおにぎりをいただきました。当協会では、輪島市役所及び白米千枚田愛耕会と白米千枚田の復旧及び復旧後の棚田保全方策(誰がどのように棚田を保全していくのか等)について、応援できることがないか協議を行っていきます。
作成者: 日本グラウンドワーク協会
「男女共同参画推進連携会議」に参加しました。
内閣府において、「男女共同参画推進連携会議」が開催され、会議の委員である当協会の中里良一理事長が参加しました。会議は、①男女間の賃金格差、②若年層の性別役割意識、③仕事と健康課題の両立支援、➃男女共同参画の視点に立った防災・復興をテーマに参加者によるグループディスカッションが行われました。中里理事長は「若年層の性別役割意識」をテーマにしたグループ討議に参加しました。このグループは、若年層(18~25歳)層における固定的性別役割意識を解消するために有効な方策を検討し、実証するとともに、好事例を収集し横展開を図るものです。グループディスカッションでは、事前に実施した若年層を対象としたアンケート調査内容を踏まえ議論を行いました。
アンケート調査結果をいくつか紹介します。
(対象年齢:18歳~26歳の未婚者 サンプル数:3,000名(性別で均等割り付け))
Q1将来、家庭を持った場合、世帯収入の配分として、理想バランス
(回答)1位 夫:妻5:5 44.6% 2位 夫:妻6:4 19.2%
3位 夫:妻7:3 14.0%
Q2将来、家庭を持った場合、家事労働に対するパートナー間での従事割合の理想バランス
(回答)1位 夫:妻5:5 50.5% 2位 夫:妻4:6 11.9% 3位 夫:妻6:4 9.0%
Q3将来、子供を持つとした場合、子育てについて考えに近いもの
(回答)1位 わからない 28.3% 2位 パートナーも自分も働くことを重視し分担
して家事・育児をしたい 23.0% 3位 パートナーも自分も仕事よりも子育
てを優先し、必要に応じて勤務先や勤務形態を変えたい 13.7%
Q4あなたが将来に望むこととして、一番近いもの(2つの選択)
(回答)1位 心豊かな生活をする 23.9% 2位 経済的に恵まれた生活をする
18.0% 3位 家族やまわりの人たちと円満に明るく暮らす 17.4%
なお、事前のアンケート事項の作成に当たって、以下のことが議論になりました。
Q1あなたの性別を教えてください。
①男、②女、③その他
この設問に対して、「何故、男を先に記載するのか」、「「その他」は表現が悪い」という質問、意見がありました。読者のみなさまはどう思われますか?
一般財団法人日本グラウンドワーク協会は、各地域活動団体の活動への女性の参画を応援しています。
「新潟大学むらづくり研究会」と「特定非営利活動法人地域おこし」がマッチングを行いました。
特定非営利活動法人地域おこし(新潟県十日町市;以下団体という)から「大学生サークルと農村マッチング事業」※1の依頼があり、新潟大学むらづくり研究会(部員54名)と団体とのマッチングを行いました。団体は地域おこしや池谷入山棚田※2の保全活動を行っています。マッチングでは団体から大学生に対して、地域おこしのために応援して欲しい活動内容(地域おこしの提案、棚田保全活動、道普請、イベント企画提案・運営、YouTube等)が説明され、意見交換が行われました。むらづくり研究会は、今回のマッチングを踏まえ、今後、団体が取り組む棚田保全活動等に対して応援することになりました。 マッチングの様子
※1「大学生サークルと農村マッチング事業」
地域おこしのために大学生の応援が欲しい行政、地域おこし団体等と、農業農村の応援を目的とした大学生サークルをマッチングする取組。
※2池谷入山棚田(面積16.6ha、枚数156枚)
池谷は、2004年に起きた中越地震をきっかけに相次いで若者が移住、奇跡の復活を遂げた集落として知られるようになりました。消滅寸前の小集落は、今やボランティアや体験イベントの参加者、視察などの訪問者が年間約1,000人もあり、全国的に注目されています。入山は1989年に集落としての歴史を終えましたが、通い耕作によって棚田が維持されています。棚田は集落圏内の至るところに数枚から数十枚単位で分散していて、湧水のあるところは湧水のあるところは全て開田に挑んだ歴史が窺われます。5代将軍徳川綱吉の頃には既に水田数町歩の記載があり、棚田の開田は集落の発展史そのものです。「棚田NAVI」(NPO法人棚田ネットワーク)より
「グラウンドワーク能登応援隊」を派遣しました。
災害復旧の専門家及び協会からなる「グラウンドワーク能登応援隊」を奥能登地域(能登町、輪島市)に派遣しました。現地は、地震と大雨で大変な被害状況でした。
能登町役場及び地域おこし団体と打ち合わせを行いました。協会に対して復旧、復興に当たって大学生のボランティア応援や復旧、復興の課題解決の相談に乗ってほしいという要望がだされました。
また、白米千枚田(輪島市)について、現地調査を行いました。かつて大学生と一緒に田植えや稲刈りをした箇所が土砂をかぶり、また、田面が大きく削り取られるなどこちらも大変な被害状況でした。輪島市役所とは、タイミングをみて復旧方法、復旧後の維持管理体制等について打ち合わせを行いたいと考えています。
「農業農村工学会系就職情報交換ツアー」が開催されました。
目的は、農業水利施設等農業農村整備関連施設の見学を行い、学生の農業農村工学の知識、理解、興味を深めてもらいます。加えて、農業農村工学系の就職先に関する講義を行い、学生に農業農村工学系の就職先の魅力を知ってもらうとともに、就職先の判断材料を提供するものです。対象の学生は、1年生~M1生。9月18~19日に近畿地域において開催されました。参加大学は滋賀県立大学、京都大学、大阪公立大学、神戸大学、近畿大学の5大学で、参加学生は16名でした。永源寺ダム(農業用;滋賀県東近江市)、石部頭首工(ゴム堰)(湖南市)、魚のゆりかご水田(東近江市)等の見学を行いました。また、見学後に、当協会の中里良一理事長による講義「農業農村工学系の就職先について」、近畿農政局による「国家公務員の仕事」、滋賀県庁による「県庁の仕事」、滋賀県土地改良事業団体連合会による「県土地改良事業団体の仕事」の講義が行われました。
ツアーに参加した学生からは、「農業水利施設の構造物、仕組みを実際に見て大学で学んだことがよく理解できた。」、「講義を受けて、農業農村工学系の就職先こと、魅力がよくわかった。就職したくなった。」などの感想が述べられました。このツアーは、(一財)日本水土総合研究所が主催で、当協会が企画、運営に協力しています。